専門用語・研究状況
Persistent suicidal ideation(持続性希死念慮)
定義の問題
2025年のscoping reviewは44報・40個の実証研究を同定しましたが、persistent/chronic/recurrent SIの統一定義は存在しません。研究では複数時点でのSI持続や、数か月〜数年という期間基準など異なるoperationalizationが使われています。
Working definition
専門家調査からは「自分の人生を終わらせることについての思考・考えが、12か月以上にわたり月の大部分の日に生じる」というworking definitionが提案されています。妥当性はまだ十分検証されていません。
Acute suicidalityとの区別
PSIは「長く続く」という時間軸の概念であり、現在のintent、plan、preparatory behaviorとは別軸です。persistentであることだけから現在の急性状態を推定できません。
Phenomenology
PSIは連続的または間欠的に持続し得ます。受動的希死念慮と重なる場合もありますが、両者は同義ではありません。passive/activeは思考内容・意図の軸、persistent/acuteは時間軸です。
治療エビデンス
PSI特異的な治療エビデンスは不足しています。一般のSIを対象とした2025年meta-analysisでは、direct psychotherapyとindirect psychotherapyの双方でSI低下が示されました。structured iCBTにも効果がありますが、これらをPSI特異的有効性や一般目的AIへの有効性として外挿できません。
維持機序
PSIを維持する共通の因果機序は確立していません。候補として defeat/entrapment、loneliness/social disconnection、rumination、anhedonia、psychological pain、sleep disturbance などがあります。
IMV modelの2024 systematic reviewでは defeat-entrapment-SI pathwayは横断研究では比較的支持されましたが、prospective/multivariable evidenceはmixedでした。lonelinessにはprospective evidenceがあります。rumination、anhedonia、psychological painにも関連がありますが、persistent SI特異的な因果機序とは言えません。sleepはwithin-personで翌日のSIとの小さい関連があります。
平易なページとの対応
平易なページの「ずっと背景にある死にたい」は、ここでいう persistent suicidal ideation(PSI)に近い体験を指します。ただし日常語の体験をPSIという研究概念へ自動的に分類するものではありません。「長く続く」という時間軸と、現在の intent / plan / preparatory behavior などの軸を分ける点が共通しています。
Repository implication
PSIを一つのroot-cause modelへ押し込まない。背景レベル、急性変化、本人が負担に感じる側面、同時に変動する要因を分ける。AIは仮説候補を整理するだけで、原因・最適治療を決定しない。
関連: PERSISTENT-SI-SCOPING-2025 / PASSIVE-SI-META-2020 / DIRECT-INDIRECT-SI-PSYCHOTHERAPY-META-2025 / ICBT-SI-IPD-META-2022 / SLEEP-SI-WITHINPERSON-META-2026